共晶の純度

共晶の純度とは

共晶系は 2 成分系の均質な混合物で、純粋な物質のように液化したり固化したりします。ほかの成分(不純物)が存在する場合は主成分の融点を下げる原因となります。こうした影響は示差走査熱量計(DSC)を利用して確認することができます。 

DSC では純度が 98.5 mol % 以上の物質について、混合物中の不純物の量や主成分の純度を測定できます。試験方法は ASTM E928、DIN 51004、DIN 51007 に定められています。純度決定には単純化された Van’t Hoff の式を用います。 

Ts: 測定試料(混合物)の融点 [K]
T0: 純物質 (純度100%) の融点[K] 
R: 気体定数 
X2: 不純物のモル分率  
ΔHf: 融解熱 [J/mol]  
F: 溶融物の割合 

この式は次のように書き換えることができます。 

または 2次元のx-y線図における直線の方程式として表すこともできます。 

y = m⋅x + b

Ts値を1/Fの関数としてプロットすると、次のような直線になります。 

  • Y軸に切片を置く:

 

T0

直線の傾き:  

実際には DSC で十分に検出できない予備融解があるため、通常の場合、結果は直線にはなりません。線形化するには総面積と各部分面積に補正係数 c を加えます。 

試験の信頼性を確保するためには補正係数 c が 20% 以下である必要があります。 

曲線Ts = f(1/F)(非線形データ)+ 補正係数 c を適用して線形化したデータ

不純物(X2)のモル分率は、線形化した曲線の傾きと純物質の融解熱の文献値から求めることができます。 

測定対象の物質はその融点と分子量が定義されている必要があります。 

  • 融解中に分解する材料は測定できません。 

  • 試料容器は適切な溶媒で洗浄した後に予備加熱します。 

  • 測定試験は次の手順で実施します。 
    ー昇温速度は低速、例えば、0.3~0.7 K/min(ASTM E928)または 1 K/min(DIN 51 004/DIN 51 007)に設定します。 

  • ただし融解前であれば昇温速度を最大 25 K/min まで上げても構いません。 
    ー 試料は少量を用意します(約 1~3 mg)。 

  • 測定終了後に試料を再度秤量します。 

  • 試料重量が 1 % 以上減少していた場合は許容範囲を超えており、データは無効になります。 

  •  

例: 共晶中の不純物による融点の低下

  • 主成分: フェナセチン 

  • 不純物: p-アミノ安息香酸 

共晶中に p-アミノ安息香酸の量が増えると融点が下がり、融解ピークの幅が広がります。共晶は純物質のように融解します。 

純フェナセチンの DSC 曲線(緑)および 2 mol % / 5 mol % の不純物を含むフェナセチンのDSC曲線

関連技術

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