結晶化温度とエンタルピー

結晶化とは、物質や材料が構造化して固化する自然発生的または人工的なプロセスです。原子や分子が高度に組織化されて結晶と呼ばれる構造になります。医薬品原薬などの中には、複数の異なる結晶構造を形成することができる物質があります。こうした状態を結晶の修飾/結晶形/多形などといいます。

結晶化は決まった温度で発生し、一定量のエネルギー放出(発熱過程)を伴います。この発熱がエンタルピーと認識されます。また、結晶化の観察では変化過程の カイネティクス (結晶化の速度)も考慮すべき事項としてあげられます。熱的に開始される結晶化は基本的に、第1段階: 核生成、第2段階: 結晶成長という2段階を経過します。結晶成長の様子は熱処理条件にも依存します。 

DSC(示差走査熱量測定)では結晶化温度や放出エネルギーを高水準の信頼性で測定できます。ただしDSC測定では、結晶化の過程で発生する冷却効果や過冷却効果により、結晶化温度が低温にシフトする可能性があることに留意します。下図はインジウムを測定したグラフで、155℃で結晶化が起こっています。これは文献値の融点である156.6℃よりも2℃近く低い値です。 

DSC のほかにも 熱膨張測定(DIL) でも同様のプロセスを観察することができます。 

試料: インジウム 約 5 mg、試料容器: Pt-Rh、昇温速度: 10 K/min 、雰囲気: アルゴン試料: インジウム 約 5 mg、試料容器: Pt-Rh、昇温速度: 10 K/min 、雰囲気: アルゴン