結晶化 / 結晶化度

結晶化度は、固体における構造秩序の程度を表します。結晶は原子や分子の配列に一貫性と反復性がある状態です。結晶化ガラスや各種の高分子材料など、多くの材料を調整する場合には、結晶領域と非晶領域の混合物を生成するといった方法をとることができます。 

ただし完全に結晶化した材料でも、構造的完全度にはばらつきがあります。

たとえば、ほとんどの金属合金は結晶状ですが、通常は多くの独立した結晶領域(粒または結晶)から構成されています。 

結晶粒界と呼ばれるこのような領域で分割された各種の配向には、転位などの格子欠陥も含まれているため、構造的完全度が低くなります。 

もっとも完全度の高い結晶は、半導体エレクトロニクス用に製造されるシリコンブールです。これは大きな単結晶、すなわち結晶粒界に分かれていない結晶です。転位はほとんどなく、原子配列乱れの割合も高度に制御されています。 

熱可塑性樹脂には高分子の結晶化が見られるものがあります。融液が固化すると、高分子鎖の一部が整列します。結晶化核を基に分子鎖が折り重なり、ラメラと呼ばれる秩序をもった領域が形成されます。 

結晶化度

プラスチックの特性は結晶化度に大きく左右されます。結晶化度が高いほど硬くて丈夫ですが、成形品は割れやすくなります。 

結晶化度は化学構造や、加工時および熱処理後の冷却条件などの熱履歴に影響を受けます。結晶化度 K は、融解エンタルピーの測定値ΔHmeasと、結晶性材料の文献値ΔHlitとの関係から決定します。 

K= ∆Hmeas / ∆Hlit

熱履歴: 熱履歴 / 機械的履歴は1次昇温のDSC 曲線に示されます。2次昇温のDSC曲線には与えられた動的条件下で決定される材料の特性が示されます。 

結晶化度は物質の硬度、密度、透明性、拡散性に大きく影響を与えます。 

ただし、物性は結晶化度だけで決まるものではなく、構造単位の大きさや分子の配向性によっても異なります。 

応用例

高分子の結晶化度の決定

低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)の溶融挙動を図1に示します。 

ピーク温度から高分子と高分子混合物を特定できます。 

ピーク面積では融解エンタルピーが表されます。 

これらの測定値をベースに、 Proteus®解析ソフトウェアを用いて結晶化度を決定することができます。 

100%結晶性PEの融解エンタルピーは293 J/g、PPは207 J/gです。ここからLDPEの結晶化度が46.5%、HDPEの結晶化度が74.2%、PPの結晶化度が48.8%と算出されます。 

図 1:各種高分子材料の結晶化度測定。雰囲気: 窒素(40ml/min)、昇温速度: 10K/min、室温~200℃、試料容器: アルミニウム容器+フタ(穴あき)。DSC 204 F1 Phoenix®を使用図 1:各種高分子材料の結晶化度測定。雰囲気: 窒素(40ml/min)、昇温速度: 10K/min、室温~200℃、試料容器: アルミニウム容器+フタ(穴あき)。DSC 204 F1 Phoenix®を使用

冷結晶化時の結晶化度の決定

PETの結晶化度Kの算出について図2に示します。 

ここで冷結晶化エンタルピーのピーク面積 ∆hc(40.29 J/g)から融解エンタルピーのピーク面積 ∆hm(42.83 J/g)を差し引き、文献値140 J/gで除算します。 

ここから PET の結晶化度 K は1.8% と求められます。 

Application Note

図 2: PET 冷結晶化時の結晶化度測定。室温~300℃、昇温速度: 10K/min、試料容器: アルミニウム容器+フタ(穴あき)図 2: PET 冷結晶化時の結晶化度測定。室温~300℃、昇温速度: 10K/min、試料容器: アルミニウム容器+フタ(穴あき)

関連技術

DSC