熱流束DSCの機能原理

DSC測定セルは、加熱炉と試料と参照パンの位置が指定されている内蔵センサー で構成されています。センサー部分は、熱電対または熱電対の一部に接続されています。これにより、試料と参照の温度差(DSC信号)と試料または参照側の絶対温度を記録することができます。

DSC測定セルの昇温中、試料の熱容量 (cp)のために通常、参照側(通常空のパン)は、試料側よりも早く温度が上がります。即ち、参照温度(TR、 緑)は、試料温度(TP、赤) よりも少し早く上昇します。一定速度での加熱中、この二つの曲線は試料が反応を起こすまでは平行挙動を示します。ここに示すケースでは、試料はt1で溶け始めます。融解中、試料温度は変化しませんが、参照側温度は影響を受けずに直線的に上昇を続けます。融解が完了すると、t2で試料温度は再び上昇を始め、再び直線的上昇を示します。

二つの温度曲線の示差信号(ΔT)が、図の下部に示されています。この曲線の中間部分には、この差から計算されたピーク(青)が生み出され、吸熱融解プロセスを表わしています。この計算では、試料温度から参照温度を差し引くか或いは、その逆にするかで、ピークがグラフの上方に表示されるか下方に表示されるかが決まります。ピーク面積は、転移熱量(エンタルピー、J/g)に相関します。

DIN 51007とISO 11357-1では、吸熱プロセスを縦座標の上方への振幅で表示するよう推奨しています。一方、例えばASTM E793やE794では、下方への吸熱方向表示を推奨しています。このことが、NETZSCH Proteus®ソフトウエアーが、吸熱、発熱プロセスの方向を選択できるようにしている理由です.